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ジャン・コクトーのイラスト、ヴィンテージ広告-ファッション雑誌1937年掲載-Elsa Schiaparelli/Jean Cocteau

¥33,000

このイラストは、1937年の『Harper's Bazaar(ハーパーズ・バザー)』誌に掲載された、Elsa Schiaparelli(エルザ・スキャパレリ)のファッションを描いたヴィンテージ広告(またはエディトリアルページ)です。

  • イラストレーター:Jean Cocteau(ジャン・コクトー)

  • ファッションデザイナー:Elsa Schiaparelli(エルザ・スキャパレリ)

  • 掲載年代:1937年

  • 雑誌名:『Harper's Bazaar(ハーパーズ・バザー)』

<表面>

「1937年 スキャパレリはこのドレスをダンスのために作った。私はそれをハーパーズ・バザー誌のために模写した。
ジャン」

「スキャパレリなら、この先細りのシースドレスをマダム・タリアンのために仕立てたかもしれない。手首にはスリットが入り、鮮やかな新色…シクラメン色。」

スキャパレリとジャン・コクトーの関係について:

  • ジャン・コクトーとエルザ・スキャパレリは、当時のパリのアヴァンギャルドな芸術・ファッション界で密接に交流しており、彼らのコラボレーションから生まれた作品(特に有名なのは「顔や手」をモチーフにしたドレスや刺繍)は、シュルレアリスムや詩的イメージをファッションに持ち込んだ歴史的な例とされています。

マダム・タリアン(Madame Tallien)は、18世紀末のフランス革命期に活躍した有名な社交界の女性、テレジア・カバリュス(Thérésia Cabarrus, 1773–1835) の通称です。正式には「テレジア・タリアン(Thérésia Tallien)」と呼ばれます。

彼女はその美貌と洗練された社交術により、革命期フランスにおける重要人物となりました。


人物概要:

出生と背景:

  • 本名はテレジア・カバリュス

  • マドリード生まれのスペイン貴族の血を引く女性で、若いころパリに移り住み、フランスの社交界に入りました。

フランス革命期の活躍:

  • フランス革命期に多くの著名な政治家と関係を持ち、特に「テルミドールのクーデター」(1794年7月)で恐怖政治を終わらせた立役者の一人として知られるジャン=ランベール・タリアン(Jean-Lambert Tallien)と結婚し、その後「マダム・タリアン」として名を馳せました。

  • 当時、彼女の美しさとファッションセンスは非常に評判で、革命後の社交界をリードし、「テルミドールのミューズ(女神)」とも呼ばれました。

ファッションへの影響:

  • マダム・タリアンは、その大胆で独創的なファッションセンスで知られ、ディレクトワール様式(1795〜1799年頃)の新しい女性ファッションを牽引しました。薄手の透けるような素材のドレスや、古代ギリシャやローマを彷彿とさせる古典的かつ大胆なスタイルは、当時のパリ社交界で話題を集めました。

  • 特に彼女は、袖のない、腕や肩を大胆に露出したスタイルや、女性らしさを強調した衣服を好んだため、革命後の自由な時代精神を象徴する女性とみなされました。

政治的・文化的な影響:

  • テレジア・タリアンは多くの画家や作家に影響を与え、多数の肖像画が残されています。彼女をモデルにした芸術作品がいくつも制作されました。

  • 彼女が主催したサロンには当時の著名な人物が集まり、政治や文学、芸術の重要な交流地点となりました。


広告における「マダム・タリアン」の引用の意味:

ヴィンテージ広告(ここでのスキャパレリのイラスト)において、「マダム・タリアン」は、特定の歴史的人物へのオマージュとして言及されています。

スキャパレリや1930年代のファッション誌(特にハーパーズ・バザー)にとって、「マダム・タリアン」は:

  • 大胆な女性らしさ

  • 洗練された前衛的スタイル

  • 革命的で自由な精神

を象徴する人物として引用されています。これは、当時のスキャパレリが新しいシルエットやカラー(ここではシクラメン色)を用いて、革命期フランスの自由で大胆な女性像を現代的に再解釈しようとしたことを示しています。

 

<裏面>

「靴に住んでいる若い女性――スキャパレリのコレクションから登場した、まったく真面目な帽子。ジェイ・ソープより。」

本に書かれている文字は:

WAGNER
TANNHAUSER(タンホイザー)

これはドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner)のオペラ『タンホイザー』(Tannhäuser)を指しています。

『パリの新作発表会からのカラーアルバム』

これらの色に、アリックスの黒みを帯びた赤やスキャパレリのくすんだプルーン色のシープスキンをエレクトリック・ブルーと組み合わせたシックなインド風配色を加えてみましょう。スレートブルーのウール、柿色も加えて。ダークブルーサテンの裏地付きミンクコートを想像してください。また、鮮やかなピンク色に染めたモールスキンの裏地を施したダークブルーのリーファーもあります。

メインボッカーのレンガの粉のような赤色、そしてエレガントなシャンパン色の上質なブロードクロスも注目です。モリニューの3種類の緑色にも注目しましょう。一つは苔色、一つはオリーブ色で黒と組み合わせ、もう一つは画家ドランを思わせる歌うようなエメラルドグリーンです。

さらに、プードル犬や赤ちゃんネズミのように柔らかなトープブラウンも考えてみてください。ヴィオネのロイヤルパープルは鮮やかなアイリッシュグリーンと組み合わせてみましょう。シャネルの鮮やかなピンク色にも注目です。ブラックと引き立て合う純白や、透け感のあるブラックも取り入れられています。5本または10本重ね付けしたブレスレットのきらめく強い輝きにも目を向けてみましょう。

こちらのヴィンテージ切り抜きは、

  • 年代:1930年代後半

  • 雑誌名:『Harper’s Bazaar(ハーパーズ・バザー)』


イラストの作者について:

イラストの左下に小さく署名「Vertès」(ヴェルテス)とあります。これはハンガリー出身でパリやニューヨークで活躍した有名なファッションイラストレーターで画家の、
マルセル・ヴェルテス(Marcel Vertès, 1895–1961) を指しています。

ヴェルテスは1930年代〜1950年代にかけて、ハーパーズ・バザー誌やヴォーグ誌で、エレガントかつウィットのあるスタイルで非常に人気を博しました。


「靴を頭に乗せている」意味合い:

こちらの帽子は、エルザ・スキャパレリ(Elsa Schiaparelli)の代表的なシュールレアリスム(超現実主義)的デザインの一例です。
スキャパレリは画家サルバドール・ダリやジャン・コクトーらとコラボレーションし、「靴型の帽子」など、実際にシュールレアリスティックな奇抜な帽子を制作しました。

つまり、このイラストで靴が帽子として描かれているのは、「遊び心」や「非日常性」、「ファッションにおける常識を覆す」というスキャパレリのシュールレアリスム的ファッション表現そのものを象徴しています。


「靴に住んでいる若い女性」とはどういう意味か?

原文:"The young lady who lives in a shoe" は、英語圏の伝統的な童謡(マザーグース)である
『There Was an Old Woman Who Lived in a Shoe(靴に住んでいたおばあさん)』
を意識したユーモラスな言葉遊びです。

実際の童謡では、多数の子供を抱えた老女が靴に住んでいますが、ここではその童謡をもじり、「靴を帽子としてかぶる」という奇抜なスキャパレリのデザインを皮肉とユーモアを込めて表現しているのです。

つまり、このフレーズは「靴を帽子にする」という奇抜なファッションへの遊び心あふれた比喩であり、「まったく真面目な帽子」という皮肉もまた、スキャパレリの大胆で奇抜な作風へのユーモアに満ちた評価を示しています。


「ジェイ・ソープ(Jay Thorpe)」について:

ジェイ・ソープとは、1920年代〜1950年代のニューヨークにあった高級婦人服専門店の名前です。当時ニューヨークの57番街付近に位置し、ヨーロッパ(特にパリ)から輸入した最新ファッションやデザイナーのコレクションを販売していました。

  • Jay Thorpe(ジェイ・ソープ) は、シャネル、スキャパレリ、ヴィオネ、ランバンといったパリの著名なクチュリエから直接仕入れた最新のオートクチュールやアクセサリーを扱い、ニューヨークの富裕層向けに高級感あるファッションを提供しました。

ここでの「Jay Thorpeより」という表現は、当時スキャパレリの帽子がニューヨークではジェイ・ソープで購入可能だったということを示しています。


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