Antiquites Brocante Paris by 桜アンティキテ

ヴィンテージ雑誌切抜き広告 CHANEL

¥8,800

こちらは、1938年のファッション誌『Harper's Bazaar(ハーパーズ・バザー)』からのヴィンテージ切り抜き広告です。

<69ページ>

年代と雑誌の詳細

  • 年代:1938年4月

  • 雑誌:『Harper's Bazaar(ハーパーズ・バザー)』


    イラストレーター
    • この作品はフランスの著名なファッションイラストレーター、画家の**クリスチャン・ベラール(Christian Bérard, 1902–1949)**によるものです

    • ベラールは1930年代~40年代にパリのファッション界と劇場界に影響を与えた重要な芸術家で、コクトーやスキャパレリとも親交が深く、ロマンティックでエレガントな作風で知られています。

内容について
上質なファッションとラグジュアリー感を強調したイラスト広告であり、主に以下のブランドが登場しています:

  • Molyneux(モリニュー)

  • Chanel(シャネル)

  • Mainbocher(メインボッカー)

 

  1. 朝のヴァイオレット:
    モリニューのウールスーツ、ミディアム・ヴァイオレットのジャケットに、深いヴァイオレットのスカート、淡いヴァイオレットのブラウス。

  2. 午後のヴァイオレット:
    シャネルのベルベット・スーツ、潰したパルマ・ヴァイオレットのような色合い。(サロン・ド・クチュール、ボンウィット・テラー)

  3. 夜のヴァイオレット:
    モリニューの真珠色のサテンドレスに、大きめのヴァイオレットの花束を飾って。

  4. 耳元にヴァイオレット、肩にヴァイオレット、ヴァイオレット色の手袋、ヴァイオレット色のモアレ生地のドレス。すべてメインボッカーによる。

この広告ページは、ヴァイオレット(すみれ)をテーマにしたファッション特集と考えてよいでしょう。1940年代のファッション誌(特にハーパーズ・バザー)では、季節ごとのテーマを設けて花や色彩をモチーフにした特集を行うことがよくありました。

ヴァイオレットは、ヨーロッパやアメリカの文化において、特に春先(2月〜4月)の訪れを告げる花として愛されてきました。また、当時のファッション業界では、特定の色を取り入れた装いをシーズンテーマとして提案し、広告やエディトリアルで集中的に取り上げることが一般的でした。ここでは、「ヴァイオレット色」を軸に、朝、午後、夜と時間帯ごとのファッションコーディネートを展開し、季節感や一日の中の変化をエレガントに表現しています。

またヴァイオレットには、控えめな優雅さや洗練された女性らしさを表現するシンボリズムもあり、この色をテーマとして設定することで、エレガンスや高級感といったブランドイメージを効果的に伝える意図も含まれています。

さらに、「すみれ」は文学的・文化的にも特別な意味を持ちます。例えば、ヴィクトリア時代には「忠実さ」「謙虚さ」の花言葉とともに女性らしさの象徴とされ、特に高級ファッションやオートクチュールの世界において繊細で気品ある女性像を示すことがありました。

フランスにおいてスミレは、伝統的に「謙虚さ」「慎み深さ」「忠誠心」などを象徴する花であり、古くから多くの詩や文学、芸術作品に登場しています。

スミレは、ナポレオン・ボナパルトが非常に愛した花として知られ、フランス史において特別な象徴性を持っています。

 

<70ページ>

年代と雑誌の詳細

  • 年代:1938年4月

  • 雑誌:『Harper's Bazaar(ハーパーズ・バザー)』

  • イラストレーター:René Bouët-Willaumez(RBWと署名されているイラストレーター)

 

『守られた女性』—パリ発の最も長く、ゆったりとした、包み込むようなコートで守られている。
メインボッカーによる壮麗なウールのアルスターコートは、ブルーフォックスの毛皮が贅沢に施され、その温もりの中にあなたを深く包み込む。
さらなるアクセントとして、ブルーフォックスのマフ(両手を温める毛皮の筒状アクセサリー)と、ダチョウの羽根をあしらったグランドマザー風のボンネットを添えて。

Mainbocher(メインボッカー)は、アメリカ出身の伝説的なファッションデザイナー、**メイン・ルソー・ボッカー(Main Rousseau Bocher、1890–1976年)**によって設立されたラグジュアリーなファッションメゾンです。

メインボッカーの人物像と歴史的背景:

  • メイン・ルソー・ボッカーはシカゴ生まれのアメリカ人で、パリに渡り、『Harper's Bazaar』誌や『Vogue』誌の編集者として活躍しました。

  • 1930年、パリに自身のクチュール・メゾン「Mainbocher(メインボッカー)」を設立。当時としては珍しいアメリカ人クチュリエ(オートクチュール・デザイナー)として脚光を浴びました。

  • 1940年、第二次世界大戦の影響でニューヨークへ活動の拠点を移しましたが、そこでもアメリカの社交界や文化界の著名人のためにデザインを続けました。

特徴とデザイン哲学:

  • メインボッカーのスタイルは「控えめなエレガンス」と評され、極めて洗練されたシンプルさ、端正なテーラリング、繊細で気品ある色使いで知られました。

  • デザインには贅沢な素材、精巧な仕立て、そして洗練されたディテールが特徴的で、華美さよりも上品なスタイルを好む富裕層に広く支持されました。

  • 特に「ブルー(Mainbocher Blue)」と称された、独特の淡く上品な青色はブランドを象徴するカラーとなっています。

歴史的エピソード:

  • 1937年にイギリス国王エドワード8世が退位し、ウォリス・シンプソン夫人と結婚した際、ウォリス夫人が着用したウェディングドレスをデザインしたのがメインボッカーであり、このドレスはファッション史に残るアイコニックな一着となりました。

  • メインボッカーはまた、アメリカ海軍の女性部隊(WAVES)の制服デザインを担当するなど、歴史的にも重要な役割を果たしています。

ブランドの継承と終焉:

  • メインボッカーのクチュールハウスは、1971年に閉鎖されましたが、現在でもヴィンテージファッションの世界において高い評価を受けています。彼の作品は美術館や博物館のコレクションに収蔵されるなど、文化的価値の高いアイテムとなっています。

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